ふっと見上げたら月が出てました。「岩端やここにも一人月の客」と詠んだ去来に、芭蕉は「客」を自称と考えよ、と教えた訳だけど、確かにこうやって見上げてると、凛として月と向かい合うっていう厳しい謙虚さが、判らなくもない。…ような気が、…少し、なんとなく…しますねぇ。
人から薦められてこの前から読んでた中沢新一が、日本人の宗教意識の下層には縄文時代からのアニミズムがある、みたいなこと書いてました。外来の仏教を取り込む過程で神道は垂迹されていった訳ですが、その神道のさらに古く、物質と精神との一元論的な存在、精霊としての石神(宿神)の信仰は時代を越えて連綿と続いている、そしてそれは日本人の自然観をくっきりと形作っている、らしいです。今夜はちょっと神妙な気持ちで、…やっぱり月見酒かぁ。きっとこのまんま飲んで行けば、ワタクシメも即席でいとも簡単に一元論的な存在になれるでしょうねぇ。